三月です。あらためまして。


老人ホームにおもむきますと

広いラウンジに入居者の皆さんが車椅子で一同に会して

レクリエーションが始まろうとしているところでした。

その中に私の母もおります。

職員さんがご老人を前に

「皆さん、今日は何日ですか?」

「はい、そう、三月一日ですね。今日は、芥川龍之介の誕生日なんですよ」

と、おっしゃいました。


思いがけぬところで、われらが大先輩の名前を聞けたのが嬉しく誇らしく思ったものでございます。

ここは墨田区。

職員さんは芥川の出身を知っておられたのかもしれませんが、

それはそうとして、私は車椅子の後ろで、会を微笑ましく見つめておりました。


「皆さんは芥川龍之介の小説、読んだことありますよね、

何を
読みましたか?」

「蜘蛛の糸」 「蜘蛛の糸」 「蜘蛛の糸」

他にはどうですか?

「羅生門」 「杜子春」

するとある御婦人がつぶやきました

「河童」。


読み進めるのが息苦しくなるような小説でした。

河童を初めて読んだ乙女時代を思い出しておりました。

必死に活字に噛り付いて、真意を汲もうとしてもはぐらかされ

自虐と開き直り、軽口にして深淵、

まさに文学のパラドクスとでも申せましょう

眩暈のような読書体験をさせられた作品でございます。



「河童忌」として命日は偲ばれていますが、

誕生日の三月一日は初期の作品をフューチャーして

「羅生門 開門記念日」「鼻生誕日」「芋粥出来」などと名付けて思いを馳せるのもよろしいかと。


そんなことを、ぼんやり考えながらおりますと

コーナーは「むづかしい漢字の花を読んでみよう」にすすんでいました。

「向日葵」「山茶花」

このあたりは読めますね。
ご老人の皆さんも口々にひまわり、さざんかと声を上げておられます。


「躑躅」「百日紅」

これだと?まだなんとか読めますね。つつじ、読めるけど書けない。さるすべりは小学校の校庭に植えてあったのを思い出します。



「薺」「罌粟」

さあ、これはお手上げです。
でも、先ほどの「河童」の御婦人は簡単に読んでおられましたよ。文学少女だったのでしょう、河童や、その他たくさんの本を読まれたことでしょう、俳句や詩や小説を編んだかもしれないな、

などと推測いたしますと

ここにいるご長寿の皆さんお一人一人に、

かけがえのない軌跡があることに気がつき

知と生命力のパワーを神々しく感じるのでした。



それはそうとして、

何を言いたいかと申しますれば、



皆様、今月もお元気で!


そして、お父様お母様を大切に!























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芥川先輩のこと

芥川 大道寺
両国高校の現代国語の授業で

まず、教え込まれることは

芥川龍之介が、我々の先輩だってこと

そんでもって、まず読まされるのが

「大導寺信輔の半生」

大導寺信輔は、芥川先輩のことで

小説には、自身の少年時代の記述

両高(当時は府立三中)に在学していた頃が描写されているのです


今、読み返してみると

芥川先輩、暗い学生時代を過ごしたみたいですよ

その話はまた別の機会に・・・



高校時代、無理やり読まされた時は感じなかったけど

大正時代の文章って、格調高くてステキなものですね

やっぱ、先輩、文豪だわ、超文豪だわ

芥川 地獄変
今ならこんなイカした表紙の文庫が出ています

デスノートの小畑センセのイラストです

間違って、子供たちが読みますように!!!
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